日本色彩学会誌
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日本色彩学会第51 回全国大会カラーポッド[京都]’20 発表論文集
ipRGC 刺激量と照明への色順応・色恒常性に関する一考察
倉田 明浩田村 太幹溝上 陽子平井 経太
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2020 年 44 巻 3+ 号 p. 33-

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抄録

本研究では,ipRGC(内因性光感受性網膜神経節細胞)と照明への色順応や色恒常性との関係について実験的検証を行った.実験は,Pearceらの研究[Plos One, 2014]と同様に,色恒常性が働くほど照明色変化に対する色弁別能力が低くなるという仮定のもとで行った.実験刺激となる照明の分光分布はプログラマブル分光光源を用いて作成した.参照刺激はCIE D65の昼光の分光分布,テスト刺激は6000Kと7000Kの(1)昼光の分光分布,(2)CIE XYZ値は同じでipRGC刺激量のみ減少させた分光分布,(3)CIE XYZ値は同じでipRGC刺激量のみ増加させた分光分布である.これらを白色板およびカラーチャートに投影し,被験者は参照刺激とテスト刺激の色弁別が可能かを実験した.実験結果より,通常の6000Kおよび7000Kの昼光の分光分布下では,D65との色弁別が可能であったが,CIE XYZ値は変化させずipRGC刺激量のみをD65に近づけた場合,色弁別が困難となった.この結果より,ipRGC刺激量が照明に起因する色弁別や色恒常性に影響することが示唆された.

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© 2020 一般社団法人 日本色彩学会
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