日本色彩学会誌
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日本色彩学会第51 回全国大会カラーポッド[京都]’20 発表論文集
異なる色覚を持つ人々における色刺激に対する神経応答の多様性
髙橋 直子陳 旭元村 祐貴平松 千尋
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2020 年 44 巻 3+ 号 p. 37-

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抄録

色覚間で色刺激に対する神経応答の多様性や共通性を明らかにする目的でオドボール課題を行い,脳波を計測した.刺激は均等色度図CIE1976u’v’上で灰色背景D65から距離が等しく異なる3点を選んだ.標的刺激には2型2色覚が3色覚よりも顕著性が高いと予測される青緑と3色覚にとって顕著性が高い色相の一つである赤を選択し,標準刺激には緑を選択した.刺激の輝度は5段階に振り分け,中間の輝度値に背景D65と同じ輝度値を用いた条件と,中間の輝度値に参加者ごとに測定した背景と刺激の等輝度値を用いた条件の2条件で行った.標準刺激が主に呈示される中で,低頻度で出現する標的刺激にボタンを押して応答を求め,反応時間を記録した.事象関連電位(ERP: event-related potential)として,3色覚では注意の配分に関連するP3成分が赤に対し青緑よりも短い潜時で出現し,赤に対する顕著性の高さが示唆された.反応時間も赤に対し有意に速い応答が認められた.2型3色覚のERPは反応時間が長く,明確な神経応答が得られなかった.2型2色覚はボタン押しのあった試行に限定したERPで赤に対して高い振幅のP3を示した.これは赤に対する顕著性の低さから注意を高めたことが反映されたと考えられる.

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© 2020 一般社団法人 日本色彩学会
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