日本臨床腸内微生物学会誌
Online ISSN : 2759-1484
リンゴペクチン溶液の経口投与によるアトピー性皮膚炎の改善効果と腸内細菌叢に与える影響
藤崎 明日香立石 里佳志岐 幸祐山田 秀和水口 信行伊藤 龍生
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2023 年 25 巻 1 号 p. 46-55

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抄録

【目的】アトピー性皮膚炎(AD)の発症要因として,免疫応答の異常や腸内細菌叢の乱れが報告されている。リンゴペクチンは,特定の腸内細菌のみを選択的に増殖させることや血中ヒスタミン濃度の降下作用が報告されていることから,アレルギー性疾患に対する予防効果が期待されている。しかし,ADの改善効果は明らかになっていない。本研究では,リンゴペクチンによるADの改善効果と腸内細菌叢に与える影響について検討した。

【方法】NC/Ngaマウス(雄)の背中に塩化ピクリル溶液を塗布してADを発症させたAD群,0.4,4%リンゴペクチン溶液をAD発症マウスに35日間経口投与したものを0.4%P群,4%P群とした。35日後に,発症部位の皮膚と糞便を採取し,AD改善効果と腸内細菌叢の変化について検討した。

【結果】ADを発症させた背部皮膚を比較すると,AD群では皮膚の乾燥や紅斑等がみられたが,全ペクチン群においてAD皮膚症状の改善がみられた。COX-2タンパク質発現量,IL-4,TSLP mRNA発現量は,Control群と比較してAD群で有意に増加(p<0.05)したが,AD群に比較して全ペクチン群で有意に低下した(p<0.05)。Foxp3 mRNA発現量,およびTh1サイトカインであるIFN-γは,AD群に比較して全ペクチン群で有意に増加した(p<0.05)。腸内細菌については,AD群に比較して4%P群でFirmicutes門の減少傾向とBacteroides門の増加傾向が認められた(p=0.103)。

【考察】リンゴペクチン投与は,AD発症部位でTh1/Th2バランスを改善し皮膚の炎症を抑えることおよび腸内細菌叢の組成を変化させることで,ADを改善することが示唆された。

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© 2023 日本臨床腸内微生物学会
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