【目的】近年,Helicobacter pyloriの除菌治療に用いる抗菌薬に対する耐性菌の増加が問題となっている。しかし,国内においてH. pyloriに対する薬剤感受性試験(AST)の標準法は十分に整備されておらず,検査機関ごとに異なる手法が用いられているのが現状である。このような背景から,ASTを標準化することはH. pyloriの除菌療法の効果を正確に評価するうえで重要である。本研究では,E-test法および微量液体希釈法,ならびに前培養条件の違いによるAST結果への影響を比較・検討した。
【方法】H. pylori標準株であるJSHR3,JSHR6,JSHR31およびATCC43504株を用いてASTを実施した。ASTはE-test法および微量液体希釈法により行い,前培養条件として液体培養菌および寒天平板培養菌を用いた。これらを組み合わせた4条件で検討を行い,得られた最小発育阻止濃度(MIC)を日本ヘリコバクター学会で公開されている値と比較し,感受性判定の一致性を評価した。
【結果】クラリスロマイシンでは,すべての試験条件において全菌株で感受性判定が一致した。一方,メトロニダゾールでは,寒天平板培養菌を用いた微量液体希釈法においてのみ結果の不一致が認められた。アモキシシリンでは,非感受性を示すJSHR31株において試験法間で判定結果の乖離が認められ,寒天平板培養菌を用いた微量液体希釈法のみが基準値と非感受性判定が一致した。
【結論】H. pyloriに対するASTにおいて,試験法および前培養条件の違いは薬剤感受性判定に影響を及ぼす可能性が示唆された。ASTの標準化と精度管理体制の確立が今後の課題である。
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