日本臨床腸内微生物学会誌
Online ISSN : 2759-1484
経管経腸栄養法におけるペクチン液を用いた小腸内栄養剤半固形化法の有用性
大石 英人飯野 高之
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2023 年 25 巻 1 号 p. 5-10

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抄録

食道裂孔ヘルニアによる逆流性食道炎が著しい症例や胃切除後症例などにおいて経管経腸栄養法enteral nutrition(EN)が必要な場合には小腸内に液体の栄養剤を投与する場合が多いが,液体の栄養剤が急速に先進することが原因となり,ダンピング症候群や難治性の下痢などが発生するリスクがあるとされている。そのため栄養剤の投与速度や濃度などの調整が必要となって,十分な必要量を投与できなかったり,患者や介護者に時間的な束縛を課することとなり,栄養管理や生活の質Quality of Life(QOL)の低下を招く場合もある。我々は経皮経食道胃管挿入術percutaneous trans-esophageal gastro-tubing(PTEG/ピーテグ)による経管経腸栄養症例に対し,ペクチン液を用いた小腸内栄養剤半固形化法を積極的に実施している。本法は栄養剤中の遊離カルシウムイオンとペクチンを反応させ栄養剤の粘性を高め,消化管内での栄養剤の進行速度を低下させることで,従来の小腸内栄養剤投与法で懸念されたダンピング症候群や難治性の下痢などの消化器症状が発生することなく,短時間での栄養管理を可能とした。本法は経鼻胃管や経胃瘻的小腸チューブによる栄養管理でも応用可能であり,従来法とは全く異なる新しい小腸内栄養剤投与法として有効な選択肢となり得るので報告する。

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© 2023 日本臨床腸内微生物学会
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