2020 年 10 巻 1 号 p. 15-20
本研究は,股関節開排筋力および大腿四頭筋筋力と各種身体機能との関連を分析し,股関節開排筋力測定の有用性を検討することを目的とした。地域在住高齢者274名(男性52名,女性222名,平均年齢74.4±5.2歳)を対象に,股関節開排筋力,大腿四頭筋筋力,足趾把持力,握力,上体起こし回数,長座体前屈距離,開眼片足立ち保持時間,Timed Up &Gotest(TUG),筋肉量,下肢筋肉量を計測した。分析の結果,股関節開排筋力と大腿四頭筋筋力は,男性ではともに筋肉量と下肢筋肉量を除くすべての項目と有意な相関が認められ,女性では長座体前屈距離と開眼片足立ち保持時間を除くすべての項目と有意な相関が認められた。これらの知見から,股関節開排筋力測定は大腿四頭筋筋力と同様に,高齢者における体力全般を表す指標となりうることが示された。