2024 年 26 巻 1 号 p. 20-24
分娩後の乳牛の子宮内膜への細菌の侵入と増殖により子宮内膜炎を含む子宮疾患が引き起こされる。子宮内膜炎の治療には抗微生物薬が使用されるが,薬剤耐性に対する公衆衛生上の懸念から代替の治療方法が検討されている。本研究では,分娩後の乳牛の腟および子宮内膜から細菌を分離・同定し,得られたBifidobacterium pseudolongumを用い,生物学的製剤として有用であると推定される特性を多角的に評価した。子宮内膜炎の起因菌として報告のあるEscherichia coliおよびTrueperella pyogenesの基準株に対する評価対象菌株の抗微生物活性を交叉培養法により評価し,30/33株が高い抗微生物活性を有することが明らかとなった。増殖速度比較試験により7/33株の迅速発育株を得た。全ゲノム解析により30/33株は伝達性の薬剤耐性遺伝子を保有しておらず,系統的に3つのクラスターに分類された。