抄録
2002年, 千葉県における水稲品種「コシヒカリの一等米比率は約58%であり, 90%前後で推移している近年の中では著しく低かった. 県内の米検査における二等, 三等の格付理由から, 乳白等の未熟粒(以下, 未熟粒)の発生が一等米比率低下の要因であった. 未熟粒の発生については, 最近では特に, 出穂後の高温の影響が大きいとされ, 未熟粒の発生を抑制するために移植時期を遅らせる対応をしている地域もある. しかし, 近年の未熟粒発生は高温のみではなく, 多くの要因が関係していると考えられる. そこで, ここでは特に水稲の生育と未熟粒発生との関係について解析し, 2002年千葉県における未熟粒の発生要因について考察したので報告する.