Journal of Clinical Simulation Research
Online ISSN : 2433-054X
原著
薬学部における一次救命処置講習導入と教育効果
井上 知美 石渡 俊二野々木 宏小竹 武
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ジャーナル オープンアクセス

2014 年 4 巻 p. 26-33

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抄録
【目的】本研究ではBLS講義,実習による教育効果を評価するため,講義および実習後の救助意欲,救命知識の変化および受講経験や性別など教育効果に影響を及ぼす因子について解析した。
【方法】近畿大学薬学部4年次生156名を対象にCPRの実施およびAEDの使用の救助意欲を講義前後,実習後に5段階回答形式のアンケートで比較した。また,胸骨圧迫のテンポ,手の位置およびAEDの使用適応患者条件における選択問題について,講義前後,実習後の正答率の比較により救命知識の変化を解析した。
【結果】CPRの実施,AEDの使用の救助意欲は,講義,実習後,有意に向上した(p<0.001)。講義前の救助意欲は,性別間,過去の受講経験の有無において有意差は認められなかったが,過去の受講経験がない学生において,実習前後でのAEDを使用する救助意欲の改善度に有意差が認められた(p<0.05)。救命知識の正答率について,胸骨圧迫のテンポは,講義,実習後により有意に向上し(p<0.001),胸骨圧迫の手の位置は実習後,有意に向上した(p<0.001)。AEDの使用適応患者条件については講義実施後,有意な向上は認められなかったが,実習実施により有意に向上した(p<0.001)。
【考察】今回のBLS講義,実習はCPRの実施およびAEDの使用の救助意欲および救命知識の向上に有効であり,薬学生に対して教育効果が示された。
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© 2014 日本災害医療教育研修協会
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