抄録
女性にとって、自動車運転は身近な移動手段となっている。女性は、性周期により、またエストロゲン分泌状態により、男性に比べて体調に変化が生じやすい。この女性の性と生殖に関する健康状態について、ホルモン動態を中心に理解し、さらに心理社会的健康への影響についても包括的にとらえていく健康科学分野にウイメンズヘルス学がある。ウイメンズヘルス学の考え方から、女性の自動車運転への影響を女性のライフサイクルごとに解説した。女性の性周期による体調の変化は、自動車運転に影響を与えているが、これまで交通医学や交通科学において、ウイメンズヘルスの視点から交通事故への影響要因は検証されていない。今後は、男性とは異なる視点で女性特有の自動車運転への影響要因について、ウイメンズヘルスの視点から交通科学の知見を再考していくことを願っている。