抄録
東京工業大学では,2022年4月にWiley社と電子ジャーナル転換契約パイロットプロジェクトを開始した。これは大手商業出版社との間の転換契約としては,国内で先駆けとなるものであった。本稿ではまず,東京工業大学における転換契約への取り組みについて経緯や検討の枠組みを概観する。それを踏まえたうえで,三大学術出版社と言われるWiley社,Springer Nature社,Elsevier社との転換契約における学内での検討や附属図書館が行った調整,またその過程で策定した「東京工業大学オープンアクセスに係る論文掲載料支援制度」について,導入の経緯や実施状況,今後の課題について報告する。