抄録
日本の研究機関において,どのような研究データ管理(RDM)支援人材を配置するかは重要な課題である。本稿では,RDM支援人材についての理解を深めるために,データスチュワードとデータチャンピオンに着目し,オランダのデルフト工科大学,オーストリアのウィーン大学,イギリスのケンブリッジ大学における事例を概観する。両者は,専門職とボランティアという相違があり,それに伴って,職務ないし活動内容と求められる能力水準も異なっていた。他方で,学問分野とその研究手法の多様性に基づくRDMのニーズに対応するための人材であるという点は共通していた。両者の支援形態の相違は,大学の組織構造と財政状況によるものと考えられる。