2020 年 4 巻 p. 12-18
【目的】病院患者への包括的BPSDケアシステム®(システム)の有効性を明らかにする。【方法】対象者はA病院入院患者であり、認知症高齢者の日常生活自立度Ⅱ以上、NPI-Q 3点以上、主疾患・既往歴に精神疾患がなく、研究の同意を得たものとした。非導入期群18名、導入期群19名とし、前者は通常のケア、後者はシステムのケアを実施した。評価は発症前、入院1・3週間の時点で、せん妄はCAM日本語版、BPSDはNPI-Q、QOLはshort QOL-Dを使用し行った。【結果】導入期群のほうが非導入期群と比べ、1週間のNPI-Qの得点が有意に高く重度で、せん妄発症割合も高かった。しかし、3週目になると導入期群は非導入期群とのNPI-Qの有意な差はなく、short QOL-Dでは高い得点を得た。また、群内の比較では導入期群のみで、入院1週間から3週間のNPI-Qおよびshort QOL-D得点に有意な改善を認めた。【結論】本システムはせん妄を発症し、重度のBPSDをもつ患者に対して有効であることが示唆された。