抄録 われわれは以前の報告で, 短期大学課程の歯科衛生士養成機関における学生の就学実態と, 学生に対する就学支援の現状について調査した. その結果, 休学理由は成績不良による単位不足が多く, 調査年度や学年の違いで休学率に特徴的な変化はなかった. また退学者の比率は第1学年で最も高く, その理由は進路変更が多かったと報告した. そこで今回の研究では, 前報の調査結果をもとに, 学生に対する就学支援対策が, 学生の休・退学に与える効果と影響に対して検討した.
歯科衛生士養成短期大学11校における平成21~24年度の学生の休学, 退学者数と, 各校が実施している就学支援対策についてのデータを分析した. 各支援対策の実施の有無状況と休学率, 退学率との関係について, Fisher正確検定を用いて統計解析を行い検討した.
その結果, 第1学年と第2学年では, 「学習支援体制の周知徹底」 や 「授業以外の取り組み (補講など)」 などの教務上のマネジメントや具体的な学習支援が, 休学に対し多少なりとも有効であることが判明した. 一方退学については, 「初年次教育等の実施」 が学生の進路再考を促す場合があり, 退学率を増加させる要因となる可能性があることがわかった. また最終学年の第3学年では, 「メンタル面に対する保健センター等の活用」 が退学率低下に有効である可能性が判明した.