日本歯科医学教育学会雑誌
Online ISSN : 2433-1651
Print ISSN : 0914-5133
原著
歯科衛生士養成教育における学生の就学実態からみた学生支援に関する検討―就学支援対策の効果と影響―
吉田 隆有泉 祐吾日下 和代田中 宣子鈴木 幸江土田 智子本間 和代久本 たき子畠中 能子中村 真理子和食 沙紀升井 一朗市川 順子高阪 利美石川 隆義足立 了平野村 慶雄
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 32 巻 3 号 p. 137-146

詳細
抄録

抄録 われわれは以前の報告で, 短期大学課程の歯科衛生士養成機関における学生の就学実態と, 学生に対する就学支援の現状について調査した. その結果, 休学理由は成績不良による単位不足が多く, 調査年度や学年の違いで休学率に特徴的な変化はなかった. また退学者の比率は第1学年で最も高く, その理由は進路変更が多かったと報告した. そこで今回の研究では, 前報の調査結果をもとに, 学生に対する就学支援対策が, 学生の休・退学に与える効果と影響に対して検討した.

 歯科衛生士養成短期大学11校における平成21~24年度の学生の休学, 退学者数と, 各校が実施している就学支援対策についてのデータを分析した. 各支援対策の実施の有無状況と休学率, 退学率との関係について, Fisher正確検定を用いて統計解析を行い検討した.

 その結果, 第1学年と第2学年では, 「学習支援体制の周知徹底」 や 「授業以外の取り組み (補講など)」 などの教務上のマネジメントや具体的な学習支援が, 休学に対し多少なりとも有効であることが判明した. 一方退学については, 「初年次教育等の実施」 が学生の進路再考を促す場合があり, 退学率を増加させる要因となる可能性があることがわかった. また最終学年の第3学年では, 「メンタル面に対する保健センター等の活用」 が退学率低下に有効である可能性が判明した.

著者関連情報
© 2016 日本歯科医学教育学会
前の記事 次の記事
feedback
Top