日本歯科医学教育学会雑誌
Online ISSN : 2433-1651
Print ISSN : 0914-5133
32 巻 , 3 号
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第35回日本歯科医学教育学会学術大会
<特別講演>
<35周年記念講演>
<シンポジウムⅠ>
<シンポジウムⅡ>
<シンポジウムⅢ>
原著
  • 吉田 隆, 有泉 祐吾, 日下 和代, 田中 宣子, 鈴木 幸江, 土田 智子, 本間 和代, 久本 たき子, 畠中 能子, 中村 真理子, ...
    2016 年 32 巻 3 号 p. 137-146
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/12/14
    ジャーナル フリー

    抄録 われわれは以前の報告で, 短期大学課程の歯科衛生士養成機関における学生の就学実態と, 学生に対する就学支援の現状について調査した. その結果, 休学理由は成績不良による単位不足が多く, 調査年度や学年の違いで休学率に特徴的な変化はなかった. また退学者の比率は第1学年で最も高く, その理由は進路変更が多かったと報告した. そこで今回の研究では, 前報の調査結果をもとに, 学生に対する就学支援対策が, 学生の休・退学に与える効果と影響に対して検討した.

     歯科衛生士養成短期大学11校における平成21~24年度の学生の休学, 退学者数と, 各校が実施している就学支援対策についてのデータを分析した. 各支援対策の実施の有無状況と休学率, 退学率との関係について, Fisher正確検定を用いて統計解析を行い検討した.

     その結果, 第1学年と第2学年では, 「学習支援体制の周知徹底」 や 「授業以外の取り組み (補講など)」 などの教務上のマネジメントや具体的な学習支援が, 休学に対し多少なりとも有効であることが判明した. 一方退学については, 「初年次教育等の実施」 が学生の進路再考を促す場合があり, 退学率を増加させる要因となる可能性があることがわかった. また最終学年の第3学年では, 「メンタル面に対する保健センター等の活用」 が退学率低下に有効である可能性が判明した.

  • 鬼塚 千絵, 永松 浩, 杉本 明子, 鈴木 一吉, 板家 朗, 木尾 哲朗
    2016 年 32 巻 3 号 p. 147-154
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/12/14
    ジャーナル フリー

    抄録 歯科における診断は口腔情報やエックス線写真から判断することが主であるが, 医療面接で患者からの言語情報によりある程度の診断が可能とされている. しかし, 言語情報からの判断基準については曖昧さが残っている. そこで, 歯科医師が患者からの言語情報をいかにして取捨選択し急性智歯周囲炎と診断をくだすのか, 経験年数によって違いがあるのか明らかにすることを目的として調査を実施した. 対象は歯科医師259名で, 患者の訴える自覚症状25項目について智歯周囲炎と判断する根拠になるかどうかを調査した. その結果, 急性智歯周囲炎の診断を肯定する言語情報は 「歯茎が腫れている」 「口を開けることが辛い」 「リンパ節が腫れている」 「唾を飲み込むと痛い」 「歯が埋もれている」 「ズキズキと痛む」 であり, 診断を否定する情報は 「つめものがはずれた」 「冷たいもので痛みがひどくなる」 であった. さらに, 臨床経験の長さにより2群に分けて比較を行った結果, 有意差が認められた言語情報は12項目であった. また, 診断に有効な情報かについての2群間の比較では11項目に有意差が認められた.

     今回の結果から, 医療面接での特定の言語情報により急性智歯周囲炎の診断をある程度予測できること, そして, 歯科医師は臨床経験を積むことで, 急性智歯周囲炎の病態についての言語情報の取捨選択能力を獲得していき, 診断への熟達化と共に言語情報をパターン認識化することが示唆された.

研究報告
  • 内田 竜司, 児玉 淳, 丸田 道人, 岡本 富士雄, 川口 智弘, 大城 希美子, 嶋田 香, 埴岡 隆, 石川 博之
    2016 年 32 巻 3 号 p. 155-165
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/12/14
    ジャーナル フリー

    抄録 本学では, 平成26年度より文部科学省大学教育再生加速プログラムテーマⅡ・学修成果の可視化の採択を受け, 本学のディプロマポリシーにおける各学生の到達度の可視化, ならびに学士課程6年間における学修成果の可視化を行うことに着手している. この取り組みを行うに当たり, 実施前の基本データとして学生および研修歯科医に対し学内アンケート調査を行った. 本学においてディプロマポリシーは, 他大学と同様に大学ホームページや学生便覧, 大学案内などの広報誌, 学生募集要項等に掲載し, 大学構成員および受験生をはじめ社会一般に広く公表し, 周知を図っているが, ディプロマポリシーおよび学士力についての認知度が, 全体的に低いことがわかった.

     今後, 学修成果の可視化を進めていく上で, 本学のディプロマポリシーや中教審の学士力について理解を深めていく必要があるが, 特に1年次生や研修歯科医では学修成果の可視化に対する期待度が高いことから, この時期を中心に働きかけを行うことにより, 本学のディプロマポリシーや学士力について理解を深めていくことが効果的であると思われる.

  • 佐藤 拓実, 中村 太, 塩見 晶, 石崎 裕子, 奥村 暢旦, 伊藤 晴江, 中島 貴子, 藤井 規孝
    2016 年 32 巻 3 号 p. 166-172
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/12/14
    ジャーナル フリー

    抄録 歯科治療の技術修得には, それぞれの処置に適した力のコントロールを身につけることが含まれる. 我々は, 術者の力のコントロールを調査し, 臨床実習中の学生と彼らのインストラクターを務める歯科医師の間には大きな違いがあることを明らかにした. そこで, 今回は歯科医師が力のコントロールを身につける過程を調査するために, 研修歯科医22名を対象に研修期間の初期 (6月) と後期 (2月) における処置時の力を計測した. 力の計測は, 下顎にフォースゲージ (IMADA社製) を取り付けたマネキンを用い, 臨床研修において研修歯科医が経験する頻度が高い処置より, 比較的繊細な力で行うものから大きな力を必要とするものを選択し, 歯周ポケット検査 (PPE), 歯肉圧排 (GR), 歯肉縁下歯石の除去 (SRP), 抜歯 (EXT), 全部床義歯印象 (FD) および全部金属冠 (FMC) の装着を対象とした. 計測結果に関してPPE, GR, SRP, EXTは処置中に複数回現れるピークの中央値を, FD, FMCは処置中における最大値を代表値として集計し, 6月と2月の各代表値をwilcoxonの符号付順位和検定, Mann-WhitneyのU検定を用いて分析したところ, PPE, GR, SRP, FMCには差がみられなかったのに対し, EXT, FDには有意差が認められた. 以上のことから, 研修歯科医は研修期間中に力のコントロールを部分的に修得することが示唆された.

調査報告
  • 河越 邦子, 関 啓介, 竹内 義真, 古地 美佳, 升谷 滋行, 紙本 篤
    2016 年 32 巻 3 号 p. 173-183
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/12/14
    ジャーナル フリー

    抄録 近年, 女性の活躍できる社会の実現が国の重要政策として掲げられており, 女性歯科医師の割合も平成26年には22.5%に達し, 今後も増加が見込まれている. 女性はライフイベントに応じて働き方を変化させることが多いが, 詳細な就業状況調査や意識調査は少ない. そこで, 今後の活躍が期待される本学女性研修歯科医に対しキャリア形成に関するアンケートを用いた意識調査を行い, 平成24年度および25年度に88名より回答を得た. その結果, 8割の女性研修歯科医は一時的な中断を含み, 一生にわたり歯科医師として働くことを希望し, 歯科医師という職業は女性に向いていると回答した. また, 歯科医師として働き続けるにあたり, 困難と思われる項目のひとつとして 「仕事と育児の両立」 という回答が66名から得られた. 出産時には産休のみの取得を希望する者は16%, 1年以内の育児休業取得や育児に数年間専念することを希望する者が82%であった. 一生を通じてフルタイムで働くことを希望するのは8%にとどまり, 育児中にはパートタイムや時短勤務を望むものは92%であった. 今後, 本学女性研修歯科医に対し, キャリア形成の参考となるロールモデルと接する機会を提供したり, 研修修了後も育児とキャリアアップを両立できるような病院の労働環境整備や休業後の再教育や復職支援を行うことが必要と考えられた.

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