日本歯科医学教育学会雑誌
Online ISSN : 2433-1651
Print ISSN : 0914-5133
調査報告
日本大学歯学部付属歯科病院における女性研修歯科医のキャリア形成に関する意識調査
河越 邦子関 啓介竹内 義真古地 美佳升谷 滋行紙本 篤
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 32 巻 3 号 p. 173-183

詳細
抄録

抄録 近年, 女性の活躍できる社会の実現が国の重要政策として掲げられており, 女性歯科医師の割合も平成26年には22.5%に達し, 今後も増加が見込まれている. 女性はライフイベントに応じて働き方を変化させることが多いが, 詳細な就業状況調査や意識調査は少ない. そこで, 今後の活躍が期待される本学女性研修歯科医に対しキャリア形成に関するアンケートを用いた意識調査を行い, 平成24年度および25年度に88名より回答を得た. その結果, 8割の女性研修歯科医は一時的な中断を含み, 一生にわたり歯科医師として働くことを希望し, 歯科医師という職業は女性に向いていると回答した. また, 歯科医師として働き続けるにあたり, 困難と思われる項目のひとつとして 「仕事と育児の両立」 という回答が66名から得られた. 出産時には産休のみの取得を希望する者は16%, 1年以内の育児休業取得や育児に数年間専念することを希望する者が82%であった. 一生を通じてフルタイムで働くことを希望するのは8%にとどまり, 育児中にはパートタイムや時短勤務を望むものは92%であった. 今後, 本学女性研修歯科医に対し, キャリア形成の参考となるロールモデルと接する機会を提供したり, 研修修了後も育児とキャリアアップを両立できるような病院の労働環境整備や休業後の再教育や復職支援を行うことが必要と考えられた.

著者関連情報
© 2016 日本歯科医学教育学会
前の記事
feedback
Top