日本歯科医学教育学会雑誌
Online ISSN : 2433-1651
Print ISSN : 0914-5133
研究報告
臨床実習における総括的評価としての保存科新規課題 「永久歯初期齲蝕に対するフッ化物塗布」 の評価
畠山 純子春名 千英子松本 典祥水上 正彦松埼 英津子廣松 亮森 南奈村上 弘大城 希美子吉永 泰周泉 利雄中牟田 博敬佐藤 博信坂上 竜資阿南 壽
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2017 年 33 巻 1 号 p. 20-29

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抄録

抄録 福岡歯科大学では診療参加型臨床実習の評価の一助として, 大学独自の課題を設定し臨床実習における総括的評価を行っている. 本学の総括的評価の教育効果および患者からの評価について検討を行った.

 平成27年度5年生67名の臨床実習生が保存科で6週間臨床実習を行う期間中に, 「永久歯初期齲蝕に対してフッ化物塗布を行う」 を課題として, 学生1名に2名の評価者が評価を行った. 総括的評価終了後, 患者と学生にアンケートを実施した.

 評価者による総評価は, 10点満点で平均8.6点とおおむね良好の成績であった. 再石灰化の説明は2点満点で平均点数1.85であり, 学生の79%が患者の理解が得られるように工夫したと答え, 94%の患者が理解できたと回答した. フッ化物塗布の評価は平均1.74であった. フッ化物を正しく塗布できたと回答した学生は91%であった. 今後のフッ化物塗布希望に関する質問では, 48%の患者が受けたいと答え, 受けても良いが49%の値を示した.

 本実習を通じて, 学生のエナメル質初期齲蝕の理解および技能評価において高い値を示した. 評価者から学生へのフィードバックを行うことにより, さらに学生の知識, 技能を深められたと考えられ, 患者への貢献もできたと考えられる.

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