日本歯科医学教育学会雑誌
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研究報告
高齢者歯科学の講義と実習の進行に伴う学生の理解度の変化
佐藤 裕二北川 昇下平 修七田 俊晴桑澤 実希
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2017 年 33 巻 1 号 p. 30-38

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抄録

抄録 わが国の高齢化率は26.7%に達し, 高齢者歯科学の重要性が増している. ヨーロッパでは高齢者歯科学の教育ガイドライン (“European College of Gerodontology : undergraduate curriculum guidelines in Gerodontology”) が作成され, 日本老年歯科医学会では翻訳を行った. そこで, このガイドラインを使用して歯学部学生にアンケート調査を行い, 高齢者歯科学の講義と実習の進行に伴う学生の理解度の変化を検討した.

 対象者は, 歯学部の平成26年度4年生100名と平成27年度5年生98名で, 調査時期は, 高齢者歯科学講義開始前, 講義修了後, 基礎実習修了後, 臨床実習修了後の計4回, 50問のアンケート調査を4段階で回答させた. 調査時期による比較には, カイ二乗検定を用いた. なお, 本研究は, 昭和大学歯学部医の倫理委員会の承認 (承認番号2013-042) を受けている.

 アンケートの回収率は90%であった. 「はい」 と 「どちらかといえばはい」 を合わせた回答を肯定的, 「いいえ」 と 「どちらかといえばいいえ」 を合わせた回答を否定的とすると, 講義前に比べて基礎実習修了後では, すべての質問項目で肯定的な回答が有意に増加した (p<0.05). すなわち, 講義と実習の進行に伴い, 高齢者歯科学の理解度の向上が示された.

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