2017 年 33 巻 3 号 p. 184-197
抄録 福岡歯科大学では, 平成26年度より文部科学省大学教育再生加速プログラムテーマⅡ・学修成果の可視化の採択を受け, 全授業科目の行動目標をディプロマポリシーおよび学士力と紐付けし, 達成度を数値化することにより学修の成果として可視化を図ることに着手している. しかし, 既存のディプロマポリシーは概括的, 抽象的な概念としての文言であり, 具体的行動目標達成後のアウトカムを明示していなかったため, 行動目標の達成により獲得される能力がよくわからず, 明確な目標となり得ない可能性が考えられた. そこで既存のカリキュラムに 「何ができるようになるか」 という要素を取り入れる, すなわち学生が卒業する時点でどのような能力を示すことができるようになるかを卒業時アウトカムとして設定し, これと行動目標との関係を明示することを考えた. これにより, これまでより教育・学修の目標が明確となるとともに, 目標達成の評価を数量的ではなく質的に行うことが期待される.
今回, 我々はプロセス基盤型教育にアウトカム基盤型教育の考え方を導入するため, 平成27年度から卒業時アウトカムの策定を開始し, 平成28年度に在校生・教職員の意見を反映し策定した6コンピテンス65コンピテンシーを学士力とともに既存のシラバスの行動目標に紐付けするよう追加した. この卒業時アウトカムと行動目標との関係を明示した新シラバスを, 平成29年度より運用開始したのでその作成プロセスと成果を報告する.