2017 年 33 巻 3 号 p. 198-205
抄録 徳島大学病院では, 研修歯科医の地域医療の理解・参画を目的に平成18年度から学校歯科健康診断を研修カリキュラムに導入し, 学校歯科医が小・中学校, 高等学校等に研修歯科医を帯同している. 学校歯科健康診断終了後には, 研修歯科医と学校歯科医にアンケートを実施し, その結果をもとに, 学校歯科健康診断の目的についての講義, う蝕判定演習, 相互実習を導入し, 研修の充実を図ってきた.
平成18~27年度のアンケートを総括して研修の効果を検討した結果, 10年間の平均で91.5%の研修歯科医が 「学校歯科健康診断は勉強になった」, 95.6%の学校歯科医が 「学校歯科健康診断を卒後臨床研修の研修項目に含めることは効果がある」 と回答し, 診査技術の向上や児童生徒の口腔状態の把握を主な理由としていた.
学校歯科医のアンケート結果では, 講義を導入した平成19年度以降で 「研修歯科医が研修目的を理解していた」 との評価が増加した. しかし, 学校歯科健康診断の知識・技術を 「十分持っていた」 と答えた割合は, 講義, う蝕判定演習, 相互実習を導入した各年度群において, 初年度と比べて有意な差は認められなかった. 一方で学校歯科健康診断は 「研修歯科医が健康増進活動を体験できる場である」 として肯定的に捉えられており, 参画人数も増加している.
以上より, 本研修は地域医療の理解に有用であり, 研修歯科医および学校歯科医に高く評価されていることが示唆された.