日本歯科医学教育学会雑誌
Online ISSN : 2433-1651
Print ISSN : 0914-5133
原著
歯学における 「医療行動科学」 の体系化を目指した全国歯科大学・歯学部シラバスの分析
伊藤 孝訓大山 篤多田 充裕木尾 哲朗吉田 登志子鈴木 一吉青木 伸一郎大沢 聖子俣木 志朗小川 哲次
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2019 年 35 巻 3 号 p. 100-112

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抄録

抄録 米国ECFMG報告に端を発し, 2012年に国際基準に基づく医学教育分野別評価基準日本版が作成され, 医学部では行動科学をカリキュラムに明示し, 実践しなければならないとしている. そこで, 歯学における基礎, 臨床に新たな学問領域としての医療行動科学の体系化を目指し, 現行の教育内容を示すシラバスと教育用語について調査した.

 シラバスは, 2014年度で歯科大学29校すべてを対象として行動科学系に含まれると考えられる科目名, 科目数, 学年配置, そして単位数について集計した. 科目名は多彩で, 1年次から4年次にわたり幅広く実施されていた. また, 学年をまたぐようにレベルを意識した配置がなされているものも多くみられた. 科目名は医療コミュニケーション, 医療人育成, 早期体験実習, 歯科医学概論, 歯学史, 医療倫理, 心理学, 医療面接, 医療管理学などがみられた. 科目数は平均15.3 (±6.8), 単位数は平均21.6 (±10.8) であった. 歯学教育において行動科学領域の学問的重み付けは, 各大学間に著しく差があった. また, 行動科学系で教授すべき用語については, ストレス, コーピング, パーソナリティ, 学習理論, 患者行動, セルフケア, セルフコントロール, セルフモニタリング, グループワーク, コーチング, ティーチング, カウンセリング, 認知行動療法, 動機付けなどが修得の必要性が高かったと考えられる.

 歯学の行動科学系学問の教育を進めるにあたり, カリキュラムガイドライン作成の必要性が示唆された.

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