日本歯科医学教育学会雑誌
Online ISSN : 2433-1651
Print ISSN : 0914-5133
原著
診療参加型臨床実習における歯学部臨床実習生のメンタルヘルスの現況
河野 舞白井 要村田 幸枝川西 克弥松岡 紘史長澤 敏行
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2020 年 36 巻 1 号 p. 13-26

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抄録

抄録 本研究では, 性別や留年経験などの歯学部臨床実習生の属性と診療参加型臨床実習 (以下, 臨床実習) の遂行状況がストレスに与える影響を明らかにすることを目的として, 臨床実習中における歯学部臨床実習生のストレス状況を調査した. 対象者は2016, 2017年度北海道医療大学歯学部に在籍した第5学年生101名とし, 臨床実習開始時 (以下, 実習前), 中間時 (6カ月後), 終了時に, 日本版精神健康調査票の短縮版 (GHQ28) を用いてストレス反応を測定した. 遂行状況は自験数, 欠席数, 小テストの成績とした. ストレス要因は9項目を設定し視覚的評価スケール (VAS) による自記式調査を行った. その結果, 臨床実習の時期によるストレス反応の増減は認められなかったが, 実習前の女子学生は男子学生より 「うつ傾向」 が有意な高値であり, またすべての時期で留年生は現役生よりGHQ28総合得点が有意な高値であった. 性別や留年経験の有無によりストレス要因に違いが認められ, 各時期のストレス反応の増減にも関係があることが示された. また, 実習遂行状況とGHQ28総合得点には関連性があることが示され, 特に現役生および女子学生の実習前半までの自験数はストレス反応の増減に関係があることが示された. 以上より, 臨床実習において歯学部臨床実習生は, 属性や臨床実習の遂行状況により, 異なるストレスを有していることが示唆された.

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© 2020 日本歯科医学教育学会
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