日本歯科医学教育学会雑誌
Online ISSN : 2433-1651
Print ISSN : 0914-5133
研究報告
下顎全部床義歯調整の新たな教育方法開発に関する検討
野村 みずき佐藤 拓実中村 太原 さやか石﨑 裕子伊藤 晴江奥村 暢旦塩見 晶長谷川 真奈藤井 規孝
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2020 年 36 巻 2 号 p. 63-70

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抄録

抄録 今回, 圧力センサー付マネキン (以下, マネキン) を歯科治療時の力のコントロールの教育に応用することを試みた. 被験者は新潟大学病院臨床研修歯科医21名とし, 下顎全部床義歯の適合診査を対象処置とした. 初めに被験者にマネキンに装着した全部床義歯に対する力の加え方と力の目安は50Nであることを説明し, 力の大きさを計測した (F0). 次に11名のⅠ群と10名のⅡ群に分け, Ⅰ群にはマネキンに表示される下顎全体にかかる力の大きさを確認しながら体験学習を行わせた. 続いて, Ⅰ, Ⅱ群の被験者をⅠA, ⅠB, ⅡA, ⅡBの2群ずつとした後, ⅠA, ⅡAには写真のみ提示し, ⅠB, ⅡBには写真を用いて調整を要する強接触部の確認方法を説明し, 再度力を計測した (F1). すべての計測は義歯内面に適合診査材料を塗布した状態で行い, 計測後に各被験者に強接触部を回答させてあらかじめ無歯顎模型に設けた凸部と照合し, 正答率を算出した. また, 各被験者が圧接した義歯内面について補綴を専門とする教員に同様の判定を依頼した. 得られたデータを統計的に解析したところ, Ⅰ群ではF0, F1に有意差を認め, Ⅱ群では認めなかった. 適合診査の判定はA, Bグループ間に差は認めなかったが, 教員が評価した強接触部の数と被験者が加えた力の大きさには相関を認めた. 以上の結果から, さらに工夫を加えれば本装置は下顎全部床義歯の調整に有用な教育ツールになりうることが示唆された.

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