抄録 心肺蘇生法の習得には技能,態度の教育を要するため,シミュレータの使用は必須で重要度が高い.気道管理シミュレータにはさまざまな種類が存在し,シミュレータを使用した教育の効果を高めるためには,指導者が各機材の特徴を把握し,教育対象者へ必要に応じて機材の特徴を伝えられることが必要となる.今回,4種類のシミュレータを使用し,挿管操作に慣れた実施者が経口挿管に要した時間を比較することにより,各シミュレータにおける挿管操作の難易度や生体との類似性等の特徴を把握する目的で調査を行った.気道管理評価シミュレータ®(A),AIRSIMアドバンス®(B),サカモト気道管理トレーナー®(C),Leardal Airway Management Trainer®(D)を使用し,5名の歯科医師が通常喉頭鏡またはビデオ喉頭鏡で経口挿管を各3回行った際に要した時間を測定した.通常喉頭鏡を使用した挿管時間はA,B,C,D(11.04±2.22,11.52±2.15,13.80±2.68,13.84±2.40秒)の順で,ビデオ喉頭鏡を使用した場合はA,B,D,C(7.98±2.52,8.24±2.00,8.58±2.19,12.74±4.15秒)の順で長くなった.また,Dはビデオ喉頭鏡の使用で,通常喉頭鏡使用より挿管時間が有意に短縮した.気管挿管時のCormack-Lehane分類はすべてⅠであった.
シミュレータA,Bは,C,Dと比較して気管挿管が容易である可能性が示唆された.シミュレータDは,ビデオ喉頭鏡使用による気管挿管に要する時間が通常喉頭鏡使用と比較し有意に短縮したことから,生体に近い状況が再現されており,ビデオ喉頭鏡により挿管困難が改善できるシミュレータとして有用であると考えられる.