日本歯科医学教育学会雑誌
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Print ISSN : 0914-5133
研究報告
卒後研修における同僚評価が研修歯科医の意識に与える影響
伊藤 晴江長谷川 真奈中村 太佐藤 拓実都野 さやか野村 みずき藤井 規孝
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2022 年 38 巻 1 号 p. 52-62

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抄録

抄録 歯科医師臨床研修制度は令和4年度に3回目の改正を迎える.そこでは質の高い歯科医師を送り出すため,より改善する努力が求められており,そのためには多角的評価も有効であることが報告されている.今回われわれは令和3年度の新潟大学医歯学総合病院で臨床研修中の研修歯科医を対象に同僚評価を実施し,その評価項目の妥当性と研修歯科医の研修に対する意識に与える影響の有無を調べることとした.

 評価にあたっては,診療知識・態度・コミュニケーションに関する項目を挙げ,回答選択方式で評価させるとともに,自由に記載できるコメント記載欄も設けた.同僚評価実施後,評価の一部を被評価者にフィードバックし,その後研修歯科医らに対しアンケート調査を行った.評価票のコメント記載欄には同僚の態度やコミュニケーションに関する記述が多く認められ,研修歯科医らは日常同僚の態度やコミュニケーションに注目していることがうかがえた.このことから態度やコミュニケーションの評価に同僚評価を用いることは適切であることが示唆された.また,評価実施後のアンケートでは,ほとんどすべての研修歯科医が同僚評価は有意義であり今後の研修に影響すると回答した.その理由として改善点がわかった,今後改善しようと意識するなど前向きに捉えるコメントが認められることから同僚評価は卒後研修によい影響を及ぼす可能性が示された.

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