日本歯科医学教育学会雑誌
Online ISSN : 2433-1651
Print ISSN : 0914-5133
38 巻, 1 号
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第40回日本歯科医学教育学会学術大会
<特別講演1>
<特別講演2>
<特別講演3>
<教育講演>
<シンポジウム1>
<シンポジウム2>
<シンポジウム3>
<シンポジウム4>
<シンポジウム5>
研究報告
  • 岡 広子, 西 裕美, 大林 泰二, 柴 秀樹, 河口 浩之
    2022 年 38 巻 1 号 p. 43-51
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/28
    ジャーナル フリー

    抄録 近年,災害歯科医学に関する内容が日本の歯学教育モデル・コア・カリキュラムへ記載され国家試験の出題項目として示されるようになり,卒前教育においても災害医療や災害歯科医学が扱われるようになってきた.しかしながら,災害歯科医学教育に関する資料や報告はまだ少なく,実際に歯学部の学生が卒前教育で学ぶ災害歯科医学の具体的な教育内容やその学習効果については報告がほとんどない.そこで,本学大学病院の研修歯科医(2019年度,2020年度,2021年度)を対象に,研修初期に災害歯科医学に関する質問紙調査を実施した.

     その結果,多くの研修歯科医が「災害歯科医学」を歯学部の学生時代に学習したという本人の自覚の有無にかかわらず「身元確認」や「口腔ケア」を災害時の歯科の役割として認識していた.また,災害対応あるいは身元確認に関連する法律や歯学教育モデル・コア・カリキュラムに記載されている語句については「知らない」との回答は3割以下で,災害歯科医学に関する内容はなんらかのかたちで卒前に学習しているという背景があるものと推察された.一方で,大学病院の事業継続計画(BCP)の存在やBCPの内容を理解している研修歯科医はごくわずかであった.卒後教育においては,卒前の基盤知識をもとに,災害対応全体を俯瞰し災害時の多職種連携や被災現場で医療人として災害対応にあたる具体的な知識や行動について学んでいくことも必要であると考えられた.

  • 伊藤 晴江, 長谷川 真奈, 中村 太, 佐藤 拓実, 都野 さやか, 野村 みずき, 藤井 規孝
    2022 年 38 巻 1 号 p. 52-62
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/28
    ジャーナル フリー

    抄録 歯科医師臨床研修制度は令和4年度に3回目の改正を迎える.そこでは質の高い歯科医師を送り出すため,より改善する努力が求められており,そのためには多角的評価も有効であることが報告されている.今回われわれは令和3年度の新潟大学医歯学総合病院で臨床研修中の研修歯科医を対象に同僚評価を実施し,その評価項目の妥当性と研修歯科医の研修に対する意識に与える影響の有無を調べることとした.

     評価にあたっては,診療知識・態度・コミュニケーションに関する項目を挙げ,回答選択方式で評価させるとともに,自由に記載できるコメント記載欄も設けた.同僚評価実施後,評価の一部を被評価者にフィードバックし,その後研修歯科医らに対しアンケート調査を行った.評価票のコメント記載欄には同僚の態度やコミュニケーションに関する記述が多く認められ,研修歯科医らは日常同僚の態度やコミュニケーションに注目していることがうかがえた.このことから態度やコミュニケーションの評価に同僚評価を用いることは適切であることが示唆された.また,評価実施後のアンケートでは,ほとんどすべての研修歯科医が同僚評価は有意義であり今後の研修に影響すると回答した.その理由として改善点がわかった,今後改善しようと意識するなど前向きに捉えるコメントが認められることから同僚評価は卒後研修によい影響を及ぼす可能性が示された.

調査報告
  • 青木 理紗, 高石 和美, 西川 美佳, 藤原 茂樹, 長宗 雅美, 赤池 雅史, 河野 文昭, 川人 伸次
    2022 年 38 巻 1 号 p. 63-68
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/28
    ジャーナル フリー

    抄録 心肺蘇生法の習得には技能,態度の教育を要するため,シミュレータの使用は必須で重要度が高い.気道管理シミュレータにはさまざまな種類が存在し,シミュレータを使用した教育の効果を高めるためには,指導者が各機材の特徴を把握し,教育対象者へ必要に応じて機材の特徴を伝えられることが必要となる.今回,4種類のシミュレータを使用し,挿管操作に慣れた実施者が経口挿管に要した時間を比較することにより,各シミュレータにおける挿管操作の難易度や生体との類似性等の特徴を把握する目的で調査を行った.気道管理評価シミュレータ®(A),AIRSIMアドバンス®(B),サカモト気道管理トレーナー®(C),Leardal Airway Management Trainer®(D)を使用し,5名の歯科医師が通常喉頭鏡またはビデオ喉頭鏡で経口挿管を各3回行った際に要した時間を測定した.通常喉頭鏡を使用した挿管時間はA,B,C,D(11.04±2.22,11.52±2.15,13.80±2.68,13.84±2.40秒)の順で,ビデオ喉頭鏡を使用した場合はA,B,D,C(7.98±2.52,8.24±2.00,8.58±2.19,12.74±4.15秒)の順で長くなった.また,Dはビデオ喉頭鏡の使用で,通常喉頭鏡使用より挿管時間が有意に短縮した.気管挿管時のCormack-Lehane分類はすべてⅠであった.

     シミュレータA,Bは,C,Dと比較して気管挿管が容易である可能性が示唆された.シミュレータDは,ビデオ喉頭鏡使用による気管挿管に要する時間が通常喉頭鏡使用と比較し有意に短縮したことから,生体に近い状況が再現されており,ビデオ喉頭鏡により挿管困難が改善できるシミュレータとして有用であると考えられる.

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