日本歯科医学教育学会雑誌
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研究報告
たばこに関する短時間のe-Learningが歯学部学生にもたらす学習効果と意識変化
中西 生美鈴木 麻美横山 知美堀江 哲郎村樫 悦子柳下 寿郎石黒 一美
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2022 年 38 巻 3 号 p. 158-170

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抄録

抄録 歯科医師にとって禁煙指導は,患者の全身と口腔の健康維持のために重要な責務であるといえる.しかしながら,たばこの一般的な知識が不足しており,将来的に歯科医師として患者に対して禁煙指導・支援を行う立場となることを自覚していない歯学部学生も少なくない.本研究の目的は,たばこの一般的な知識,喫煙による健康への為害作用,禁煙指導・支援における歯科医師の役割をe-Learning形式で歯学部学生に学習させ,その学習効果や意識変化を検討することである.

 本研究は,研究の趣旨に同意した第1学年から第5学年までの歯学部学生653名を対象とした.まず,プレアンケートを実施した後,約15分間のたばこに関するe-Learningによる自己学習を行った.その後,ポストアンケートを実施してe-Learningによる学習効果と喫煙に対する意識変化を評価した.

 その結果,短時間のe-Learningによる学習ではあるが,歯学部学生のたばこに関する知識を深め,禁煙指導・支援に取り組む意識の変化をもたらすことが示唆され,さらに学生への禁煙の啓発の一助となった.

 今後は,年齢や学年に応じたたばこに関する教育をさらに強化し,患者への禁煙指導・支援を実践するカリキュラムを構築する必要があると考えられる.

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© 2022 日本歯科医学教育学会
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