日本歯科医学教育学会雑誌
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原著
歯科医師国家試験の合否と4年次CBTとの関係―IRT標準スコアについて―
守下 昌輝村岡 宏祐竹内 弘粟野 秀慈
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2023 年 39 巻 1 号 p. 3-9

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抄録

抄録 共用試験は,医学部・歯学部が国民・社会に対し医学部・歯学部の卒業生の質を保証するための試験として2005年以降正式実施されている.臨床実習開始前の共用試験の一つであるComputer Based Testing(CBT)は,異なる時期・場所でも公平に実施・評価できる試験とされ,成績評価にIRT標準スコアを採用している.CBTの成績は,臨床実習終了後に実施される歯科医師国家試験の合否に関係しているといわれている.そこで,九州歯科大学の学生で歯科医師国家試験に新卒で受験した者を対象とし,CBT本試験のIRT標準スコアと歯科医師国家試験の合否との関係について評価した.

 その結果,歯科医師国家試験合格率が87.3%であった九州歯科大学における過去5年間の新卒者の平均IRT標準スコアでは,歯科医師国家試験合格者は不合格者よりも有意に高いことが示された.IRT標準スコアが620以上は,歯科医師国家試験にすべて100%合格していた.歯科医師国家試験の合否のカットオフ値になるIRT標準スコアは493.0であった.CBT受験回数が歯科医師国家試験不合格者で有意に増加した.また,歯科医師国家試験不合格者ではCBT受験回数が有意に多く,留年経験者の歯科医師国家試験合格率は60.4%で,留年経験のない者の90.5%より低かった.以上から,IRT標準スコアと歯科医師国家試験の合否は関係していることが明らかになった.

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