2026 年 42 巻 2 号 p. 37-52
抄録 近年,医療・保健・福祉分野において多職種連携の重要性が高まり,多職種連携教育(Interprofessional Education:IPE)が推進されている.本研究は,歯科衛生士養成課程における4職種混成のグループワーク型IPE合同授業を対象に,行動目標(Specific Behavioral Objectives:SBO)を枠組みとして,その学修成果を明らかにすることを目的とした.対象は臨床実習前段階にある短期大学歯科衛生学科2年生94名で,薬学・看護・栄養系学生と混成したグループワーク型IPE合同授業に参加した.授業前後に質問票調査を実施するとともに,授業後に回収した自由記載回答については,生成AIを補助的に活用して整理・分類し,量的結果と照合して分析した.量的結果では,他職種理解や協働志向の向上に加え,専門職アイデンティティの形成や,学部・学科・学校間および職種間の心理的障壁の軽減が認められ,態度・認識に肯定的な方向への変化が確認された.自由記載回答からは,多職種とともに学修する過程での気づきや自己認識にかかわる学修経験が示されていた.以上より,グループワーク型IPE合同授業は,臨床実習前段階の歯科衛生学生に対し,多職種連携を支える基盤的な態度や認識の形成に資する教育方法の一つとして有用であることが示唆された.