抄録
われわれ歯科界の人間にとって基本的な用語である「歯」という語が,民俗学的にはどのように使われているかに強い関心を持ち,「定本柳田国男集(新装版)」(筑摩書房)をテキストとして,その「索引読み」を試みた。その結果,総索引中に30語が見出された。さらにそれらの内容について民俗学的諸分野にわたる分類を試みたところ,その分布状況を把握することができた。その一方で,テキスト読解に関する「索引読み」の方法論は,今後の電子機器とそれらに関連する教材開発の進展により益々威力を発揮するようになり,テキストの本質に,より接近しうる可能性が示唆された。