口腔衛生学会雑誌
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原著
マイクロラジオグラフに基づく脱灰・再石灰化歯質ミネラル指標のコンピュータ計測処理
稲葉 大輔田中 隆一高木 興氏米満 正美Joop ARENDS
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1997 年 47 巻 1 号 p. 67-74

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抄録

マイクロラジオグラフによるミネラル定量のためのプログラムMDAを開発し,コンピュータ支援による齲蝕病巣ミネラル指標の計測法を提示した。MDAによる計測の基本ステップは,(1)マイクロラジオグラフのフィルム濃度計測,(2)光学的濃度のアルミニウム換算厚さ値ETa(μm)への変換,ならびに(3)ETaからミネラル体積濃度(vol%))への換算である。最終的に,MDAは齲蝕病巣のミネラルvol%分布曲線を表示し,基準点の指定に基づいて脱灰深度1_d(μm),ミネラル喪失量⊿Z(vol%・μm),ミネラル蓄積量⊿Za(vol%・μm),等の基本的なミネラル指標を出力する。本研究では計測操作ならびにその再現精度について詳述した。ミネラル指標に関するオペレーター内ならびにオペレーター間の誤差は2.6%以下であり,単純化された操作と平易なユーザーインターフェイスに基づく高い再現性と性能が示された。CCDカメラをスキャナとして用いるコンピュータによる画像定量法(computer-assisted videodensitometry, CAV)で得られたミネラル濃度分布曲線の解析もMDA上で可能である。MDAプログラムは,標準化された基準によるミネラル指標の評価,比較を可能とする点から齲蝕学分野の研究に有用な手法を提供するものと考えられた。

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© 1997 一般社団法人 口腔衛生学会
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