口腔衛生学会雑誌
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原著
成人の歯科保健行動について : デンタルチェツカー^[○!R]による77,000人の集計結果
川村 誠皆川 芳弘川村 彰子宇山 徹牧嶋 孝生岩本 義史
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1997 年 47 巻 2 号 p. 139-150

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抄録

コンピュータ歯科問診システム「デンタルチェツカー^[○!R](K.K.カイテツク,東京)」(Ver.1)は,60項目からなる質問紙の回答をもとに「知識」,「態度」,「行動」,「環境」,「意欲」,「症状」の6領域について個人の歯科保健行動をコンピュータで診断する問診システムである。本研究では,成人77,440人の知識・態度・行動などに関する回答を集計し,以下の結論を得た。1.永久歯の萌出本数を知らない者68.8‰フッ化物配合歯磨剤が歯周病予防に有効であると回答した者が49.2%を占めた。2.歯周病に不安感を抱く(90.9%)と同時に,入れ歯になるのも仕方がない(53.3%)と諦めている者が多かった。3.歯ブラシと歯磨剤による歯磨き習慣は定着しているものの,デンタルフロスの常時使用者はきわめて少なかった(2.2%)。4.歯科疾患の自覚症状では,歯肉出血(72.9%)や食片圧入(70.6%)を自覚している者の割合が高く,歯の動揺(21.8%)を自覚する割合は低かった。一方,多忙なため歯科を受診できないと答えた者が半数近くいた(44.9%)。5.質の高い歯科治療を求める(53.8%)一方で,定期的に歯科健診を受けていると答えた者は4.7%に過ぎなかった。以上の結果から,今後,成人に対して(1)正確な口腔保健知識の普及,(2)歯科保健行動変容のための健康教育,(3)効果的な清掃補助用具の普及,等の内容を重点的に行っていく必要があると推察された。

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© 1997 一般社団法人 口腔衛生学会
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