口腔衛生学会雑誌
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原著
高等学校における学校歯科保健活動に関する研究 : 第1報 歯科健診結果の認識と受療行動
森下 真行徐 淑子原 久美子松本 厚枝
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2000 年 50 巻 2 号 p. 231-235

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抄録

平成6年に学校保健法施行規則の一部改定が行われ,平成7年度より学校における健康診断の考え方や方法が変更された。これに伴い歯科健診においても,事後措置を充実させることが求められることとなった。しかし健診の結果は必ずしも歯科保健指導に生かされておらず,受診率も低いのが現状である。そこで,歯科健診結果が生徒にどのように認識され,またそれが事後措置としての受療行動にどのように影響しているのかについて検討する目的で,高校生を対象に質問紙調査を実施した。末処置歯ありと診断された生徒のうち,95.6%がアンケートで「むし歯があった」と正しく答えていたが,歯肉炎ありと診断された生徒では健診結果を正しく認識していだのは42.0%で,う蝕に比べ健診結果との一致率が低いことが示された。これは,小中学校における歯科保健指導がう蝕予防に偏っており,歯肉炎への対応が十分でないことにも原因があると考えられた。現在,学校で使用されている治療勧告書は,具体的な部位や診断名は記入せず,う蝕の本数や歯周疾患の有無だけを記入することが望ましいとされているが,その内容や回収の方法などについて検討が必要であると思われた。また,今回対象となった高校生では歯肉炎や歯石に関して認識が低かったことから,高等学校においては歯周疾患予防を考慮した歯科保健指導が必要であることが示唆された。

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© 2000 一般社団法人 口腔衛生学会
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