1964年に福岡管区気象台にて採取された大気降下物試料は137Csや90Srといった人工放射性核種が近年に比べて多量に検出されるため、当時は核実験による環境汚染が顕著であったと気象研究所は報告している。一方、1964年の試料中のU濃度は他の土壌起源元素濃度との相関が低くその由来が核実験であることが示唆される。そこで大気降下物試料からのUの分離・精製方法及び測定方法の検討をし、1964年、2000年に同地点にて採取された試料中のU同位体比と天然におけるU同位体比の測定及び比較を行い、大気降下物中の人工放射性核種の濃度とU同位体比の関係性から現在と過去における核実験の大気への影響を考察する。