口腔衛生学会雑誌
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原著
パノラマX線を用いた高齢者の辺縁部および根尖部の歯周組織健康状態に関する研究
樋浦 健二葭原 明弘宮崎 秀夫
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2003 年 53 巻 2 号 p. 130-136

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抄録

本研究の目的は,高齢者における辺縁部および根尖部の歯周組織の状態をX線学的に評価し,骨吸収度や歯の喪失との関連要因について分析することである.対象は,1998年新潟市で実施した調査に参加した70歳600人のうち,有歯顎で,2年間の追跡調査を受けた379人から層別抽出した100人である.パノラマX線撮影をもとに骨吸収度,根尖部の状態を調査した.ベースライン時の現在歯のうち無髄歯は36.9%を占め,そのうち35.6%に根尖病巣が認められた.骨吸収度は,現在歯群別では,1〜9本群,20本以上群でそれぞれ36.4,27.5%であり20本以上群で有意に小さかった.2年間での喪失歯は50本で,ベースライン時での歯髄の状態では,有髄歯から7本,無髄歯から43本であった.ロジスティック回帰分析の結果,2年間での歯の喪失の危険性は,現在歯1〜9本群で20本以上群と比較し33.33倍,骨吸収度50%以上ありで5.11,5.80倍,無髄歯で8.01倍,根尖病巣ありで9.87倍,鉤歯で2.77,2.36倍であることが示された.本調査により,高齢者において20本以上現在歯を有する者は骨吸収が少なく,喪失リスクも小さかった.また,歯髄の保存が喪失リスクの低下につながることが示唆された.

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© 2003 一般社団法人 口腔衛生学会
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