2003 年 53 巻 2 号 p. 145-149
日本の有珠山が2000年3月31日に噴火した.火山の周辺に住む5,000人以上の住民は安全に避難することができた.大きな避難所では,避難住民のために民間病院が臨時の診療所を直後に開設したが,歯科医療サービスは実施されていなかった.北海道庁の要請により,北海道内の2つの大学歯学部と歯科医師会がそれぞれ歯科医師と歯科スタッフからなる歯科医療チームを編成し,各避難所を巡回した.各避難所で実施した歯科医療サービスとしては,歯科相談や保健指導に加え,義歯の調整,歯痛の緩和,脱離修復物の再着などの応急処置が多かった.神戸の大地震や奥尻島の津波などの災害時の経験に加え,今回の経験から,災害時の際の避難住民の健康管理プログラムには,歯科医療サービスが必要であることが改めて示唆された.