口腔衛生学会雑誌
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成人歯科保健におけるヘルスプロモーションの実践 : 第1報 MIDORIモデル(PRECEDE-PROCEED model)による歯周病予防事業の企画と実施
中村 譲治森下 真行堀口 逸子中川 淳
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2004 年 54 巻 2 号 p. 87-94

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抄録

広島県豊田郡安浦町において,MIDORIモデルに従って歯周病予防を目指した成人歯科保健事業に取り組んだ.事業の企画に先立って実施した質問紙調査の結果,歯周病の自覚症状をもつ人の割合が,年齢とともに増加していることが明らかになった.そこで,このようなQOLの問題を解決するために必要な保健事業を企画するため,住民も加えた「考える会」を立ち上げた.考える会において健康教育プログラムを作成していく過程では,住民も参加してグループワークを行い,プログラムや保健行動の優先順位を決定し,評価の指標や目標値を決めていった.その結果,30代女性において,「歯間清掃用具を使用している人の割合を増やす」,「年1回以上定期健診を受けている人の割合を増やす」の2つの最優先プログラムと目標値(それぞれ30%および50%)が決められた.「歯間清掃用具の使用」については「ひよこ歯科健診」を充実させることと,町内の保育所や幼稚園の保護者会を利用することの2種類の健康教育プログラムを策定した.健康教育の内容は,教育・組織診断によって得られた準備・強化・実現因子を考慮し,グループワークのなかで決定した.このように,MIDORIモデルを応用することで解決すべき要因が抽出・整理され,安浦町のニーズと現状にあった成人の歯周病予防のための事業計画を策定することができた.

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© 2004 一般社団法人 口腔衛生学会
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