2008 年 58 巻 5 号 p. 534-541
二糖類であるトレハロースは卵巣摘出マウスの骨吸収を抑制する.そこで本研究で私たちは,ヒト閉経後骨粗鬆症の動物モデルである卵巣摘出ラットを用い,トレハロースの前投与により閉経後の骨密度減少を予防できるか検討を行った.雌性Sprague-Dawleyラットを4つの群,偽手術群(Sham群),卵巣摘出術群(OVX群),トレハロース前投与群(Pre-TH群)およびトレハロース投与群(TH群)に分けた.OVX群,Pre-TH群およびTH群のラットは卵巣摘出手術を,Sham群のラットは偽手術を8週齢で施し,トレハロース(10mg/kg)または滅菌蒸留水を経口投与により,毎日12週間(4〜16週齢)投与し,体重,子宮重量および大腿骨と腰椎の骨密度への影響を検討した.体重および子宮重量においては,OVX群とPre-TH群またはTH群において,統計学的有意差は認められなかった.しかし,大腿骨および腰椎の骨密度はOVX群と比較して,Pre-TH群において有意に増加していた.これらの結果より,トレハロースの前投与は閉経後の骨粗鬆症予防に効果があることが示唆された.