口腔衛生学会雑誌
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原著
看護分野における口腔ケア研究の動向と歯科口腔保健・医療動向との関連性の検討
吉田 理恵窪田 惠子晴佐久 悟青木 久恵門司 真由美三好 麻紀梶原 江美内藤 徹
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2018 年 68 巻 1 号 p. 28-35

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抄録

 本研究においては,看護分野における口腔ケア研究の動向と歯科口腔保健・医療動向との関連性を評価することを目的とした.方法は医学中央雑誌webを用いて,キーワードは「口腔ケア」,「看護師」を組み合わせ,期間は2000–2016年として検索した.調査期間の年間文献数の推移により傾向を把握した.周術期口腔機能管理加算新設と周術期口腔ケアに関する文献数の関連性の検討はχ2検定を用いた.

 対象・研究フィールドが不明,レビューの文献等を除外した結果,308文献が分析対象となった.フィールド別では,病院での研究が大部分で,地域・在宅の研究は少なかった.入院診療費の包括評価制度や栄養管理実施加算が導入された2006年の翌年に,文献数は前年度に比べ顕著に増加していた.また,多職種連携やサポートチームによる口腔ケア実施に関連する論文が,2006,2010年で前年に比し顕著に増加し,これらの年は栄養管理実施加算や栄養サポートチーム加算が新設された.周術期口腔機能管理加算の新設時期と口腔ケアに関する文献数増加は有意に関連していた(p<0.01).しかしながら,口腔ケアに関する文献数増加と介護診療報酬の改定や保健政策との関連性は認められなかった.

 以上より,看護分野における口腔ケア研究の動向は,口腔ケアに関連する診療報酬改定の動向と関連している可能性が示唆された.

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© 2018 一般社団法人 口腔衛生学会
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