口腔衛生学会雑誌
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原著
茨城県における3歳児う蝕有病者率の健康格差の推移:2005-2013年地域相関研究
五十嵐 彩夏相田 潤坪谷 透杉山 賢明瀧澤 伸枝小坂 健
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2018 年 68 巻 2 号 p. 85-91

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抄録

 乳幼児う蝕は減少しているものの,学歴や収入などの社会経済状況による健康格差が存在することが報告されている.茨城県においても市町村間に地域差が存在するが,健康格差の経時的な推移については明らかではない.本研究は,茨城県内市町村間の3歳児う蝕有病者率の絶対的および相対的格差の経時的推移を明らかにすることを目的とした.茨城県の全44市町村を対象とした地域相関研究を行った.2005年から2013年までの3歳児う蝕有病者率(市町村乳幼児歯科健康診査結果)および一人当たり市町村民平均所得(市町村民経済計算)を用いた.健康格差を測る指標として,絶対的格差を表す格差勾配指数(Slope Index of Inequality:SII)および相対的格差を表す格差相対指数(Relative Index of Inequality:RII)を用い,全44市町村間の3歳児う蝕有病者率の健康格差を算出した.分析の結果,茨城県内のほぼすべての市町村でう蝕有病者率は低下していたが,健康格差はいまだに存在していた.市町村間のSIIは減少傾向にあったものの,RIIはほぼ不変であった.健康格差を減らすための対策の実施とともに,継続的な健康格差モニタリングが必要であろう.

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© 2018 一般社団法人 口腔衛生学会
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