口腔衛生学会雑誌
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原著
成人集団における歯の喪失要因に関する後ろ向きコホート研究
野々山 順也橋本 周子出分 菜々衣武藤 昭紀齋藤 瑞季嶋﨑 義浩
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2019 年 69 巻 2 号 p. 77-85

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抄録

 本研究は,幅広い年齢層を含む地域住民を対象に,10年間の歯の喪失に関わる要因を明らかにすることを目的として行われた.

 愛知県某村で2001年度に歯科健診を受診した766名のうち, 2011年度も同じ歯科健診を受診した382名を対象とした.個人単位の歯の喪失の要因を明らかにするために,歯の喪失の有無および3歯以上の喪失の有無を目的変数とした多変量ロジスティック回帰分析を行った.歯単位の歯の喪失要因の分析として,各歯の喪失の有無を目的変数とし,個人レベルの要因と歯レベルの要因を説明変数に用いたマルチレベルロジスティック回帰分析を行った.

 個人単位の歯の喪失の有無は,年齢,現在歯数および歯ぐきの腫れの自覚が関連していた.3歯以上の喪失には,年齢,現在歯数,歯周状態,歯ぐきからの出血の自覚および喫煙習慣が関連していた.歯単位の歯の喪失は,個人レベルの要因として,年齢,性別,現在歯数,歯周状態および歯ぐきの腫れの自覚が関連しており,歯レベルの要因では,健全歯に比べて処置歯と未処置歯の喪失リスクが高く,歯の部位では下顎前歯部に比べて小臼歯部と大臼歯部の喪失リスクが高かった.

 地域における歯科健診データを基にした後ろ向きコホート研究により,成人集団の歯の喪失に関わる要因が明らかになった.この結果は,今後の歯科健診において,歯の喪失リスクが高い者に口腔保健指導や歯科での定期管理を受けることを薦める必要性を示唆している.

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© 2019 一般社団法人 口腔衛生学会
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