2019 年 69 巻 3 号 p. 139-142
専門的口腔ケアは質の高いがん治療を提供するために重要ながん支持療法であるとされているが,がん治療における専門的口腔ケアを推奨するために,更なる効果の検証が求められている.本研究では,食道がん化学療法患者に対するがん支持療法としての専門的口腔ケアの有用性を明らかにすることを目的とした.
初回化学療法(DFP療法)期間中の口腔内状態が確認できた26名を対象に,専門的口腔ケア群(9名)とコントロール群(17名)を比較して専門的口腔ケアの効果を調査した.その結果,専門的口腔ケア群はコントロール群と比較して重症口腔粘膜炎の発症率が有意に低く,重症口腔粘膜炎を発症した群は非発症群と比較して,DFP療法の中断に至った割合が有意に高かった.
以上の結果から,継続的な専門的口腔ケアは食道がん化学療法患者に対するがん支持療法の一つとして有用であることが示唆された.