口腔衛生学会雑誌
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原著
エリスリトールがPorphyromonas gingivalisおよびTreponema denticolaの揮発性硫化物産生に及ぼす影響の検討
橋野 恵衣久保庭 雅恵坂中 哲人石川 明日香眞弓 昌大竹内 洋輝天野 敦雄
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2021 年 71 巻 2 号 p. 88-93

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抄録

 糖アルコールの一種であるエリスリトールは,優れた代用甘味料であり,う蝕リスクの低減に有効であるとして歯磨剤や洗口剤にも使用されている.われわれは,エリスリトールがin vitro混合バイオフィルムモデルにおいて,主要な歯周病菌であるPorphyromonas gingivalisのバイオフィルム形成を抑制することを以前報告した.本研究では,歯周病菌が産生する口臭原因物質である揮発性硫化物(VSC)に着目し,P. gingivalisおよびTreponema denticolaによるVSC産生に対するエリスリトールの影響を検討した.まず,増殖阻害効果を観察するため,エリスリトール添加あるいは非添加の液体培地を用いてP. gingivalisおよびT. denticolaを48時間嫌気培養した.VSC産生阻害実験では,三角フラスコ中で両菌をそれぞれ培養し,ガスタイトシリンジでフラスコ内の気相部分に含まれる気体を採取し,ガスクロマトグラフを用いて硫化水素,メチルメルカプタン,硫化ジメチルおよび二硫化ジメチルの定量を行った.VSC産生量に対する有意差検定はダネットの多重比較法を用いた.5%,10%エリスリトールによるP. gingivalisメチルメルカプタン産生抑制率はそれぞれ29.0%,72.0%,二硫化ジメチルについては90.1%,98.4%と顕著な抑制率を示し,増殖抑制効果を上回る阻害効果が観察された.一方,エリスリトールはT. denticolaの増殖およびVSC産生には有意な抑制効果を示さなかった.以上より,エリスリトールは菌種特異的にP. gingivalisのVSC 産生を抑制し,P. gingivalisが検出される歯周病患者の口臭の改善に役立つ可能性が示された.

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© 2021 一般社団法人 口腔衛生学会
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