2023 年 73 巻 3 号 p. 177-184
本研究の目的はアルコール摂取状況と歯の喪失との関連を明らかにすることである.40歳以上の25,216名を分析対象とした.分析では,性別およびアルコール摂取状況[非飲酒者,過去飲酒者,現在飲酒者(週1~149 g,週150~299 g,週300~449 g,週450 g以上)]により対象者特性を比較した.その後,アルコール摂取状況と歯の喪失との関連について,ロジスティック回帰分析を行った.従属変数を歯の喪失程度(「現在歯数20本未満」および「無歯顎」)とし,独立変数をアルコール摂取状況とした.
その結果,男性で,現在歯数20本未満と非飲酒者,過去飲酒者,週450 g以上との間に有意な関連がみられた[週1~149 gと比較したオッズ比(95%信頼区間)=1.49(1.29–1.72),1.25(1.05–1.49),1.22(1.07–1.39)].無歯顎は非飲酒者との間に有意な関連がみられた[1.70(1.33–2.18)].一方,女性で,現在歯数20本未満と非飲酒者,週150 ~299 g,週450 g以上との間に有意な関連がみられた[1.20(1.08–1.34),1.28(1.04–1.57),1.64(1.12–2.40)].無歯顎は週450 g以上との間に有意な関連がみられた[3.18(1.31–7.76)].
アルコール摂取状況は歯の喪失と関連し,現在飲酒者においてアルコール摂取量が多いほど関連が強く,その関連の程度には性差がみられた.