口腔衛生学会雑誌
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原著
腎機能と自己申告による現在歯数との関連(魚沼コホート調査ベースラインデータより)
皆川 久美子葭原 明弘宮本 茜諏訪間 加奈岩崎 正則竹原 祥子小川 祐司
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2024 年 74 巻 2 号 p. 125-134

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抄録

【目的】慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)は,蛋白尿や腎機能低下から腎不全さらには透析へ至る疾患である.歯の喪失も腎機能に影響を与える可能性が指摘されているが,腎機能と歯周病・残存歯数の関連をみた先行研究では対象者がCKD患者あるいは透析患者が主である.そのため,本研究の目的は,40歳以上の地域住民における現在歯数と軽度以上腎機能低下との関連を明らかにすることとした.

【方法】40歳以上の地域住民を対象に実施された魚沼コホート研究のベースライン調査において,身体検査値,血液検査値のデータのすべてが揃っている5,477名(男性2,666名・女性2,811名)を解析対象とした.

 現在歯数を独立変数,腎機能低下の有無を従属変数,および年齢,性別,HbA1c,BMI,収縮期血圧,LDLコレステロール,喫煙,CKDの家族歴を共変量とし,ロジスティック回帰分析を用いて解析した.

【結果】5,477人中,軽度以上腎機能低下と定義されたのは1,642人(30.0%)であった.ロジスティック回帰分析の結果,現在歯数19本以下の者は,20本以上の者と比較して,腎機能が低下していた者の割合が有意に高かった(オッズ比=1.23,95%信頼区間=1.08–1.39,p<0.001).

【結論】地域住民の属性や関連要因を調整した状況下で,現在歯数と軽度以上の腎機能低下との間に有意な関連が認められた.

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© 2024 一般社団法人 口腔衛生学会
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