2024 年 74 巻 3 号 p. 196-202
近年,疾病の発症予測に人工知能による機械学習モデルが使われるケースが増えてきている.本研究では,成人期以降の歯科健診データから5年後のう蝕経験歯数(DMF歯数)の増加を予測する機械学習モデルを,Prediction OneⓇを用いて作成し,その精度を評価した.2016年度と2021年度に朝日大学病院で歯科健診を受診した284名の成人を対象とした.284名の歯科健診データを学習データ群(200名)と検証データ群(84名)に分けた.Prediction OneⓇ Version 1.3を用いた機械学習モデルを,学習データ群の2016年度の歯科健診データと2021年度のDMF歯数を基に作成した.続けて,検証データ群を用いて,作成した機械学習モデルの精度を検討した.その結果,機械学習モデルにより予測された5年後に増加したDMF歯数と真に5年後に増加したDMF歯数との間は,正の相関を示し,相関係数の値は0.802となった.さらに,機械学習モデルにより予測されたDMF歯数の増加の有無は,真のDMF歯数の増加の有無からみて,感度1.00,特異度0.77の値を示した.これらの結果は,Prediction OneⓇで作成した機械学習モデルが,成人期以降の5年後のDMF歯数の増加を高い精度で予測できることを示唆している.