フッ化物応用をめぐる研究や推奨は変化しており,日本の状況を踏まえてアップデートしていく必要がある.本稿では,近年のフッ化物応用に関する考え方について,二部構成の第一報として解説した.「1.フッ化物配合歯磨剤利用方法の推奨の改定をめぐる議論」については,2023年に公表された4学会合同の推奨では,国際的な推奨に合わせて1日2回の歯みがきとされているが,フッ化物の摂取許容量から考えて,1日3回の歯みがきでも安全上問題はないことを示した.ただしフッ化物配合歯磨剤の飲み込みによる歯のフッ素症のリスクは存在するため,用量を遵守して過剰に飲み込まないようにする必要がある.「2.6歳未満の子どもへのフッ化物歯面塗布に関する海外の推奨と日本の状況」については,WHOなどで推奨される高濃度のフッ化物バーニッシュのう蝕予防としての承認が日本ではないこと,日本の塗布剤のフッ化物濃度は海外のものと比較して低く,さらに日本では塗布はセルフケアではなく歯科衛生士または歯科医師が行っているため,2 mL以下の用量を遵守したうえで,6歳未満の子どもに対してもフッ化物歯面塗布を推奨するべきであることを説明した.「3.WHOの6歳未満の子どものフッ化物洗口は推奨されないという見解に対する日本の状況」では,WHOが同じ文書内で日本の園や学校での集団フッ化物洗口を紹介していることも踏まえ,推奨していくべきであることを説明した.