自治体では,1980年代以降,政策自立を志向する自治体職員による「政策研究」活動が全国的に広がっていく。自治体発行の政策情報誌は,自治体の内部で育ちはじめたこうした職員の政策研究の成果発表の場として位置づけられる。しかし,自治体職員による「政策研究」については,その固有の課題ないし独自性について論及した文献は必ずしも多くない。また,そのことが明かにならない限り,自治体発行の政策情報誌の発行の意義も明確になってこない。
そこで,本稿では,1.日本の自治体が政策自立を志向しはじめる1960年代以降の時代背景を概観しながら,自治体職員が政策研究に取組みはじめた要因をさぐること。つぎに,2.西尾勝論文「自治型の行政技術」を手がかりに,政治と行政の関係を軸に,自治体の内部改革と自治体職員の「政策研究」がどのような内的論理で結びつくかを考えながら,自治体職員の「政策研究」の固有の現場と独自性について論及することにした。その結果を踏まえて,3.自治体発行の政策情報誌について,先駆的役割をになった4誌を取り上げ,各自治体における内部改革との関連で,政策情報誌がどのような役割を果たしてきたかを検討し,最後に,4.自治体改革における政策情報誌の意義と今後の課題について論じることとした。