口腔衛生学会雑誌
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う蝕形成とアマルガム二次損傷の違い
大西 正男谷 宏
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1970 年 20 巻 1 号 p. 1-7

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抄録

第一大臼歯のう蝕発生率を, 同じ歯の裂溝う蝕に充填したアマルガム二次う蝕の発生率と比較する目的で, 同じ地域 (岩手県千厩町) の小児について, 前者はRetrospective folIow-up法で, 後者は小学生のアマルガム充填後1年目の二次う蝕を測定した。健康な第一大臼歯は毎年一定比率で減少即ち真のう蝕発生率はこの期間一定と見なされる (log P=1.989-0.051T; Pは健康歯率, Tは学年, 0.051は集団の第一大臼歯の真の発生率) のに対し, アマルガム二次う蝕は年齢に反比例して減少 (P=1.760+32.2701/T; Pはアマルガムニ次う蝕の発生率, Tは学年) した。この結果は, 従来から知られている歯の萠出後に現われる歯質の化学的並びに物理的変化は凡てアマルガム二次う蝕の病因に関係する因子でありえても, う蝕の発生とは一次的には関係のないものであることを示す。集団内のう蝕形成因子は地域社会にあつてはかなり長い期間変らないと推定されるが, 学年別有病率を連続さしても, 同じ関係が得られた。第一大臼歯以外の歯では抵抗因子が複雑になつていると考察された。しかし同じ処理方法で発病率の真値 (上顎中切歯: 0.0158, 上顎側切歯: 0.0132, 上顎第1小臼歯: 0.007) を計算することができた。またアマルガム二次う蝕の発生率は年齢の函数として表現すべきであると考察された。

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