口腔衛生学会雑誌
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2種のフッ化物添加歯磨剤のう蝕予防効果に関する臨地実験
大西 正男谷 宏
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1970 年 20 巻 1 号 p. 105-111

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抄録

2種のフッ化物 (Na-monofluorophosphateおよび, フッ化第1錫) を含む歯磨剤がこれらを含まない歯磨剤 (monofluorophosphate歯磨剤の対照として作られたが, フッ素イオンの点でフッ化第1錫の対照とも見做される) に対して永久歯う蝕発生率の点で比較実験された. 1101名, 5歳より12歳の児童を3群に分け, 上記3種の歯磨剤を1年間各々使用させ, この期間にう蝕好発部位に新生したう蝕数を実験開始時においてう蝕のなかつた好発部位数に対する比率で表した。これを相互に比較した結果, monofluorophosphate歯磨剤は対照に比べて, 平滑面で40.5%, 小窩裂溝で16.1%の抑制率を示し, これに対しフッ化第1錫歯磨剤は対照歯磨剤に比べて小窩裂溝だけに19.4%の抑制率を示した。これらの抑制率はχ2-testにより有意であることが示された。本実験では実際のう蝕好発部位を使用し, 年間う蝕発生率の精度を高め, また結果の統計処理にχ2-testを使用することの必然性を示し, 更にフッ化物が小窩裂溝にも有効であつたことが強調された。

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